本のある暮らし

人生は一冊の本のように味わい深いです。そんな日々を綴ります。

映画を観たあとに原作読みました。「日日是好日」を読んで。

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おはようございます。

 

先日見た映画、日日是好日

 

映画を観たあとすぐに単行本を買い、読み直したので今日はその本の感想です。

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今回私は最初に映画を観て、本を読んだんですが、

この順番でよかったなと思いました。

 

なぜなら、今回のお話はお茶に関する内容です。

 

私はお茶に関しての知識が全くないのです。

映画を観ているとお茶に関する専門用語や道具がたくさん出てくることに気づきました。

 

多分本から読んでいたらそれらのことがなんとなくぼんやりだったかもしれません。

 

映画を観て、また本を読み返す。

映画では一瞬一瞬過ぎていくセリフが、

本だと何度も読み返せ味わうことができ、

買ってよかったなと思いました。

 

やっぱり一番こころに残っているセリフ

 

世の中には、「すぐわかるもの」と、「すぐにはわからないもの」の二種類がある。

 

すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。

けれど、すぐにわからないものは、フェリーニの「道」のように、

何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわじわわかりだし、

「別もの」に変わっていく。

 

そして、わかるたびに、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片にすぎなかったことに気づく。

「お茶」ってそういうものなのだ。

 

 

私はこれに凄く共感しています。

私が感じた「すぐにはわからないもの」は、

自然の美しさでした。

 

私は青い海に囲まれて育ちました。

当たり前のようにそこにあった青い海。

白い砂浜。雲の流れ。

焼けるような夕日。

時々かかる虹の空。

サトウキビの揺れる風の音。

星が今にも落ちてきそうな満天の星空。

 

ぼんやりと眺めていたその風景がいつも当たり前にありました。

 

そして18歳。

島を出て、沖縄に行き、23歳東京に住んだ時、

その当たり前の風景はどこにもないことに気づいたのです。

 

私はなんて贅沢な場所に住んでいたんだろうって。

 

だんだんと、

季節の移ろいにこころを動かさられるようになりました。

 

春には何回この桜を見れるだろうか?

夏にはセミたちの命のはかなさを感じたり、

秋には自然の織りなす色とりどりの芸術。

冬の凍てつく寒さ、春をじっと待つこと。

 

さいころ

10代には感じなかった、

切なさや美しさを感じ取るようになってきました。

 

歳を重ねるごとに増します。

 

学生時代の修学旅行なんて、ほとんど何も感じなった。

 

ところが、

 

大人になって、かつて行った場所を観光するとどうだろう。

見え方が全然違った。

 

勉強だって同じだ。

学校の授業で習う勉強は退屈だったのに、

本で別の視点で読むと面白いということを知った。

 

「すぐにわからないもの」はたくさんあることに気づいたのです。

 

それが歳を重ねるということなんだと思ったのでした。

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もう一つ好きなことば。

 

どしゃぶりの日だった。

 

雨の音にひたすら聴き入っていると、突然、部屋が消えたような気がした。

私はどしゃぶりの中にいた。

 

雨を聴くうちに、やがて私が雨そのものになって、先生の家の庭木に降っていた。

 

(「生きる」って、こういうことだったのか!)

 

ザワザワッと鳥肌が立った。

 

お茶を続けているうちに、そんな瞬間が、定額預金の満期のように時々やってきた。

 

何か特別なことをしたわけではない。

どこにでもある二十代の人生を生き、平凡に三十代を生き、四十代を暮らしてきた。

 

その間に、自分でも気づかないうちに、一滴一滴、コップに水がたまったていたのだ。

 

 

典子がお茶を通して「生きる」とは「幸せとは」そんなことを知った瞬間でした。

きっと生きているとそんな瞬間が誰にでもあるはず。

 

そんな瞬間を映像に文字にして外から眺めるとまた気づく。

毎日が愛おしい。

改めてそう思える本と映画でした。

 

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両方見て感じたことは、どっちもお勧めなので二つセットでどうぞと言いたいです。

 

引用文は全て森下典子著書「日日是好日」(新潮文庫)より

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。