一冊本を読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今回読了した本はこちら。
武田綾乃さん著「青い春を数えて」
ただの青春小説じゃない!
文学的な表現が多く大人もスルスル読める一冊でした。
タイトルからして、青春の匂いがしますよね。
青い春を数えての本の構成
まずタイトルの「青い春を数えて」
この小説は5つの短編集から構成されています。
白線と一歩
赤点と二万
側転と三夏
作戦と四角
漠然と五体
短編タイトルを並べると、分かりますよね。
数字が並んでいます。
そしてタイトルの「青い春を数えて」
つまり、「青春の数!!!」これを見た瞬間、キャー!!という感じ。笑
こういう粋な計らいって好きなんですよ~。
きっと、人の数だけ青春はあるってことを伝えたかったんじゃないかなぁと思います。
大人になった誰しもが過ごした10代。
そして今渦中にある10代の若者たち。
ただの青春小説じゃないよ!表現が文学的
青春小説というと、「恋愛」を考えてしまいますが、この小説には一切恋愛要素はありません。
誰もが10代に感じた、あの「自分と他者」の関わりから感じる、劣等感や、
「自分とは」そんなアイデンティティに焦点が当てられています。
でも、ドロドロでもなく、淡々と。
けれどちょっぴり切なくて、この本に出てくる少女たちをそっと抱きしめたくなるような。
そんなお話しばかりでした。
そして言葉遣いが文学的で美しいんですよね。
例えば夕日の表現。ただ夕焼けが赤く染まったなどのありきたりな表現ではなく、
「じんわりと日が暮れる。橙色に染まる空気が、私の首筋を優しく撫でた。」
別の個所だと
「夕焼けの海は、消えかけのろうそくの炎のような不安定な黄色の光を帯びていた。揺れるさざ波の上を橙色の夕闇が駆けて行く」
という感じに、きれいな表現がたくさんなんですよ!!
こんな風に物事を表現できたらなぁって、感嘆です。
青い春を数えてを読んで印象に残った言葉
「損得でしか考えられない人生って、やれることが狭まっちゃうから結局損してる気がするんだよね」
受験に関係のない科目は一切勉強しないと決めた主人公に、
塾の先生が言ったセリフです。
そうなんですよね、「損得」を基準に生きると、
近道のようであって、結局損をしている気がするんですよね。
無駄なことって無駄なように見えてそこから学ぶことも多いし、
遠回りしたからこそ得られることもたくさんある。
要は捉え方次第なんだと思うけれど、昨今は効率重視が風潮されている気がします。
若い時こそ、無駄に遠回りしてもいいんじゃないかなと。
大人だからこそ、あの時もっとこうしていればって結果論で感じるんだけれど、
効率的やりかたを教えても、
経験のない子はやっぱり自分で手探りで少しずつ進んで行って体得していくのかなと。
これは幼児を育てても感じることで、
先回りせず、ゆっくりゆっくり、
無駄なことに時間を費やしている時の方が幸せそうに感じます。
大人にとっては無駄に見えるかもしれないけれど、
きっと子供の方が本能的だから正しい気もするのです。
親はついつい、こうした方がいいよと経験則からアドバイスしがちなんですよね。
こんな感じで、たった一文でも自分の何らかの琴線にスッと響いてきたりと、
スラスラと読める小説でした。
今青春まっさかりの10代の方。
かつて青春時代を過ごした大人の人に読んで欲しい一冊です。
戻りたくても戻れない10代。
小説からあの時の気持ちを教えてもらいました。
今考えると、今の方が楽かな~って思います。
それはやはり「経験」の違いかなと。
苦しい時はいつか必ず時間が解決してくれる。
逃げ道もたくさんあるって知っているから言えることなのかな。
それを対、人から学べればいいけれど、10代は自己の中で解決しがちです。
そんな時は、本を読んで、一歩外から自分を客観的に見て、
悩んでいるのは自分だけじゃないんだよ。というのを知れたら楽になると思うのです。
本はそんな手助けをしてくれる手段になります。
青い春を数えて。
懐かしさと切なさを伝えてくれる一冊でした。
ああ、青春っていいですね( *´艸`)若者の皆さん、たくさん青春してください。
大人の皆さんも青春してますか~!?
本を読むといつでもあの頃にワープできますよ~!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。