おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
辻村深月さん著「ぼくのメジャースプーン」です!
「ぼくのメジャースプーン」の本の説明
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースより
もっとずっとどうしようもなくひどかった・・。
ある日、学校で起きた陰惨な事件。
ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、
言葉を失った。
彼女のために、
犯人に対してぼくだけにできることがある。
チャンスは本当に一度だけ。
これはぼくの闘いだ。
本書より引用
今回の物語の舞台は小学校。
主人公のぼくは、ちょっとだけ早く大人へ成長してしまった
幼なじみのふみちゃんに憧れを抱いていた。
何でもできるふみちゃんは、
メガネをかけ、歯列矯正をしている女の子。
イトコに学校のアルバムを見せるときに、
ぼくが一番いいと思っている子を指す。
ふみちゃんの顔を指でさすとビックリされるくらい、
それは意外に思われる。
ふみちゃんは人気者だけれど、誰とも群れない。
周りのことをよく見ているし、
クラス内が円滑になるように、状況を判断することができる。
そんなある日、学校で大切に育てていたうさぎ。
誰よりもうさぎを可愛がっていたふみちゃん。
本当はその日、ぼくが当番で、
本来なら残酷な事件現場に遭遇するのはぼくだったのに、
ぼくが熱を出してしまう。
代わりに行ってもらったふみちゃんが目の当たりにした残酷な光景とは・・。
それから、ぼくが持っている秘密の力を使って、
犯人に復讐するために、ぼくの能力について、
とある先生に教えてもらうのだった。
復讐は本当に心を満たしてくれるのだろうか?
「ぼくのメジャースプーン」を読んで心に残った言葉
P290~
復讐なんていうものは、
結局は心を満たしてくれない。
それでも考えられるだけ一番ひどい復讐をしようと思った時には、
結局は長い時間をかけて相手にできるだけ苦痛を与えて、
最後は殺すというやり方が一番いい。
突きつめると、そんな方法しかないんだと思う。
そしてそれは、とても虚しい。
犯人に罰を与えたいと思っている、ぼく。
同じ能力者の秋山先生との会話で、
結局復讐を果たしても残るものは虚しさしかないんだよと、
語る先生。
究極はそういうことになる。相手を憎み、
復讐した時点で被害者は加害者になってしまう。
「ぼくのメジャースプーン」を読んだ感想
今回読んだ本書は、「あーよかった!」では済まされないほど、
深い話だった。
さすが辻村さんと何度も唸る。
難しいテーマを、物語に織り交ぜながら、
私たちに考える機会を与えてくれる。
この本のテーマでもあるけれど、
命の重みや復讐とは?
たとえば、私たちは、アリ一匹を簡単に殺してしまう。
虫は殺していいのに、
どうして人間は殺してはいけないの?
悲しむ人がいるから?
同じ命なのに、私たちは矛盾したことを言うし、
してしまう。
そんな倫理的な問題を加味しながら、
この物語では、「ぼく」と「秋山先生」との議論が交わされる。
子どもに聞かれたら答えにくい、
難しい問題をこの本では語られているのだ。
大人でも難しい問題が提示されているのだ。
きっと、同じようにひどいことをされたら、
誰だって犯人に同じような苦痛を与えたいと思ってしまう。
けれど、相手にそれが通じないような場合は?
んー、難しい。
現実の世界でも、やるせないニュースばかりで苦しい。
そしてそして、
この本の面白さと言えば、
あの物語のあの人たちが登場するのだ。
これはファンにとっては嬉しい再会だ。
心が震えるとはこういう瞬間を言うんだと思う。
現実世界に居ないけれど、
どうしてこれほどあの人たちの再会が嬉しいんだろう。
それはもう、現実も非現実も通り越して、
私はその世界を堪能しているからだと思う。
「子どもたちは夜と遊ぶ」
秋山先生、月子、恭司?
この再会には嬉しかった。
大変なことがあったけれど、月子が元気そうで本当によかった。
いつか、浅葱にも会いたい・・。
そして、秋山先生のあのシーンは、
あの能力を使ったことだったのね。
と、真相が分かって嬉しい。
本書で「ピカピカの天才」と描写されていたのは、
「凍りのくじら」の松永郁也くんらしき人が登場したり、
この、
物語と物語が繋がるのが、辻村ワールドのたまらない面白さでもある。
そんな辻村さんの粋な計らいにいつも痺れるのだ。
かっこいいよ!辻村さん。だから好き。
一冊、一冊、読み進めるごとに、「凄い!凄い!」の心の連呼だ。
これだからやめられない、辻村さん作品。
次回は「名前探しの放課後」を読みます♪
以上、「ぼくのメジャースプーン」を読んだ感想でした。
★辻村深月さん作品はこちら★
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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