おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
佐々涼子著「エンド・オブ・ライフ」です!!
この本の説明
「命の閉じ方」をレッスンする
200名の患者を看取った看護師は末期癌を宣告された。
自らの死をどう受け入れたのか?
在宅で過ごす患者や家族の思いとは?
終末医療を描くノンフィクション物語となっています。
こちらの本は、Yahoo!ニュースが本屋大賞と連携する、
ノンフィクション本大賞作となっております。
取材から刊行まで7年かけた一冊。
最期を迎えるのは、住み慣れた家がいいのか?
病院がいいのか?
その答えは読者へと委ねられています。
誰もが平等に必ず訪れる「死」いつかのその日のために、
予習をしておく意味でも読んでおいて損はない一冊だと思います。
心に残ったことば
P105~
母が病気になって以来、私は病気を「くじ引き」のようなものだと捉えるようになった。
母が病気になった理由は?
ただの偶然だ。
意味などない。
私たちはいつだって偶然に左右される。
私たちは、その偶然を都合のいいように解釈し、
おのおのが好きな意味で満たすのだ。
明らかに悪い生活習慣で病気を招くならば納得がいきます。
けれども、何でこの人が?
と思うくらいに、突然難病になる人がいます。
健康に気を付けていても病気になる人もいれば、
どんなに不摂生をしていても病気にならない人もいます。
私たちは、納得するためにいつも「理由」を探すけれど、
理由を探したところで、治らない病気があるのです。
その心の落としどころをつけるために、
私たちは「意味を探す」のかもしれません。
P205~
助かるための選択肢は増えたが、
それゆえに、選択することが過酷さを増している。
私たちはあきらめが悪くなっている。
どこまで西洋医学にすがったらいいのか、
私たち人間にはわからない。
昔なら神や天命に委ねた領域だ。
これは本当にそうで、「選択肢」が多いと感じました。
本人が選べる状態ならまだいいです。
それを家族に委ねられたときに、過酷さを強いられます。
延命をするのかしないのか?
胃瘻にするのかしないのか?
自分の臓器を家族に移植するのかしないのか?
何が何でも生きていて欲しいのか。
自然の成り行きに任せるのか。
生きるとは選択の連続です。
普段からこれからの話を家族と濃密に交わしていたら問題はないかもしれませんが、
向き合えずにいます。
話ていたとしても、いざ目の前にそういった状況が置かれた時に、
考え方が変わる可能性だってあるのです。
どんなものごとの発展には、いい面も悪い面も混在しているなと感じました。
感想
私はホームヘルパー2級を持っていますが、現場で働いたことがありません。
実習の時に在宅に何軒かお邪魔した経験しかないのですが、
一人一人、その人の歩んだ人生や暮らしがわずかな時間でしたが、
共有することができました。
在宅に携わる方達はその人たちの、残された時間を色濃く過ごす相手ということは間違いないのです。
この本に登場する渡辺西賀茂診療所のスタッフの心意気が本当に素敵でした。
患者さんの最期の舞台の脇役に立たせてもらっている。
そんな気持ちで患者さんに接しているのです。
仕事外のかかわりがたくさんで、それはもうボランティアの領域。
中々出来ることではないですが、
皆さん、根が優しいんですね。
「最後に潮干狩りに行きたい」そんな家族の願いを叶えるために、
長時間の車の移動に同行したり、普通なら絶対やめた方がいいという場面でも、
家族の気持ちを優先させる決断には驚きでした。
この本を読んで思ったことは、
より良い最期を迎えるキーポイントは、
最期に関わる人たちによってその運命が委ねられているということ。
在宅のスタッフさんも同じことを言っていました。
本当に患者さんの気持ちに寄り添うスタッフと出会えることは大事。
人を人と見ない医者や医療従事者もたくさんいるそうです。
そしてケアをする立場の人はやっぱり、自分の心に余裕がないと、
相手の気持ちや立場になって行動が出来ないと思うのです。
忙しく働く家族たち。
心の余裕がないからこそ、今、在宅で看取るという選択は、
ごく限られた人達にしか出来ないことなのかもと思いました。
在宅のいい面、辛い面両方あります。
どちらが、本人にとっても、家族にとってもいいのかは、
その家族に委ねられています。
本を読む中で、著者のご両親の夫婦関係がとても素敵でした。
著者のお母さんが難病になってしまうのですが、
献身的に支えるお父さんには頭が下がる思いです。
きっと元気なころから、相手を思いやって生きてきた証拠だと思います。
生きたように、最期を迎える。
本当にそうで、病気になる前の相手との関係性によっても、
また最期は変わるんだと思いました。
私も子育てが落ち着いたら、在宅も経験してみたいなと思いました。
昔は当たり前に身近にあった死、
家族を看取ることで、
死とはどういうものなのかを経験する機会が今は失われています。
だから私たちは、「死」を特別なものとして見、
不安と恐怖が募るのではないかなと思いました。
人それぞれ、最期の迎え方は違います。
もし、事故死で突然を迎えるのではなく、
病気で僅かでも時間があるとするならば、
自分は何を選択し、何を残せるのか?
自分ならこれほど献身的に出来るのか?
様々な感情が交差する本でした。
素敵な本です。
多くの人に手にとって欲しい1冊でした。
在宅での介護や看取りは想像してもしきれない、
経験した本人にしか分からない領域です。
けれど、どんなに大変なことがあっても、
関わる人はもちろん、最期を迎える本人も、
とても満足そうなのが印象的でした。
きっと全力で相手と向き合い、命の限り生きると、
最後に残るのはやりきった満足感なんでしょうね。
どの患者さんたちも、家族も、見送る時、逝く時、双方が頑張ったねと、
迎える時間が素敵でした。
以上、佐々涼子さん著「エンド・オブ・ライフ」を読んだ感想でした!
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