本のある暮らし

人生は一冊の本のように味わい深いです。そんな日々を綴ります。

【読書感想】くどうれいん著「氷柱の声」震災のあの日に閉じ込めていた思いが溶け出すお話しでした。

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おはようございます。

 

1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。

 

今日ご紹介する本はこちら。

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くどうれいん著「氷柱の声」です!

 

 

 

本の説明

 

2011年3月11日。

東日本大震災を経験した人達。

それぞれの経験には濃淡があるけれど、

テレビや報道で取り上げられるのは、

「何かを失った」人たちの物語が多い。

 

けれど、「何も失わなくてごめんなさい」

そんな風に、被災地に住みながらも、

自分の思いを吐露することもせず、

「話すほどのことじゃないから」

「私が話せる立場ではないから」

 

そんな風に、閉じ込めた心の声が、

ゆっくりと溶けて言葉になるようなそんなお話しです。

 

著者自身も被災地の県の出身者です。

当時は高校1年生だったそうで、

「希望の子」として、大人からの見えない期待を背負って生きてきました。

 

10年経ったからこそ、今なら書けるかもしれない。

そんな思いを抱き本書が出来上がりました。

 

心に残ったこと

 

P36~

被災地の人と接している間、

自分の罪が許されていくような感覚があった。

 

勉強を進めれば進めるほど、

自分は被災者に寄り添う人間になる、

役に立つ大人になる、

と言い聞かせている自分がいた。

 

何もなりたいものがなかった自分に、

震災という大きな物語が覆いかぶさってきて、

自分はそこに上手くはまっただけだったのではないかと。

 

震災を通して医師を志したトーミの言葉です。

トーミは福島県出身、震災を経て、医師を目指す女。

美しい努力をしている人。

そんな風に見られることに耐えられられなくなり、

進路変更をします。

 

自分の意思ではなく、見えない、○○せねばならないという、

使命感に押しつぶされてしまったのかぁと。

 

あぁ、きっとそんな風に自分の心に無理をしてあの日以来過ごしてきた人がいたのかもしれない。

 

そんな風に考えさせられた場面でした。

 

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感想

 

震災に限らず、大きな病気、大きな事故を境に、

人生が変わる人がたくさんいます。

 

そんな人を目の当たりにしてしまうと、

自分が言える立場じゃないと、

蓋をしてしまう場面は多々あります。

 

そういう経験をした人にしか分からない気持ちはもちろんあります。

けれど、何かを失わなくても、

傷ついている人たちがたくさんいることを私は忘れていることに、

この本を読んで気づかされました。

 

寄り添う小説とはこういうことを言うんでしょうね。

そうだね。そういう人たちもいるよね。

 

そんな風に優しくそっと教えてくれる内容でした。

 

どんな物事も大きな物語のフィルターをかけるのではなく、

ありのままを受け入れられるくらいの、平らな心でいたいけれど、

中々難しいです。

 

まだまだ復興の途中ではありますが、

10年の時が経ったからこその感情もあるのかな。

そんな風に思いました。

 

以上、くどうれいん著「氷柱の声」を読んだ感想でした。

 

 

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