本のある暮らし

人生は一冊の本のように味わい深いです。そんな日々を綴ります。

【読書感想】海をしっかり受け取りました。上間陽子さん著「海をあげる」

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おはようございます。

 

1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。

 

今日ご紹介する本はこちら。

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上間陽子さん著「海をあげる」です!

 

 

 

この本の説明

 

沖縄の生活を、幼い娘のかたわらで、

強く、静かに描いたエッセイ本となっています。

 

Yahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞2021の本でもある本書。

 

この本の始まりは自身の結婚生活から語られます。

 

 

夫の浮気の告白。

浮気相手の話。

ご飯が食べられなくなってしまった話。

 

上間さんに起こった辛い体験から、

沖縄に戻ってからの生活のこと。

 

沖縄での日々のこと。

 

家族のこと。

 

沖縄の若い子たちの話。

性暴力、風俗の話。

 

娘さんとの密月の日々。

沖縄が抱えている現実のこと。

 

飾らない文章で、力強く率直に。

 

上間さんが経験した人生が波のように押し寄せてくる。

そんなエッセイとなっています。

 

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感想

 

日常を送っていると、

子育て中のふとした幸せと交互に、

 

仕事や人間関係、家族関係、あらゆる出来事が訪れます。

 

人の営みというのはそうやって日々多岐の出来事の繰り返しですが、

 

この本を読んでまず感じたことは、

 

娘さんと上間さんとの会話がとっても微笑ましいのです。

子育て中だからよく分かる。

 

うちにもこんな時期っあったなぁとか。

子供って今目の前のことしか考えていない。

 

そしてこれからたくさんの経験をしていく子供たちに、

親としては願わずにはいられない。

辛い時、どんな形でもいいからご飯を食べられますように。

寄り添ってくれる人がいますように。

そんな思いもひしひしと伝わってくるのでした。

 

そんな子育て中のふとした幸せとは裏腹に、

現実の世界はたくさんの目を背けたくなるような事実があります。

 

普天間基地に近い宜野湾市で暮らす上間さん。

宜野湾で暮らすまで、

こんなにも飛行機の音がうるさいなんて感じなかったこと。

 

辺野古問題、

沖縄の若ものたちの抱える問題。

早すぎる出産や性暴力。

 

どこに暮らしていても、虐待関係の話は尽きないのですが、

私は18歳から23歳まで沖縄で暮らしていました。

沖縄で暮らしている時はこれらの問題全てを意識することなく暮らしていました。

 

専門学生時代に宜野湾市に住む友人もいたけれど、

米軍基地に連れて行ってもらって写真を撮ったりと楽しかった思い出しかありませんでした。

 

米軍のレイプ事件とか、騒音問題とか、違う視点から見たことはなかったです。

 

それらの問題というのは、

聞くこと、受け入れることを持ち合わさせている人の前でしか語られないとこいう言葉にもハッとさせられました。

 

問題を抱えている人たちは、

辛いことを話たがりません。

 

P249~

これまでずっと若い女性の調査をしてきました。

でも、近親者からの性暴力について語られているのはこの調査からです。

 

そのことが意味しているのは、

聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれないということなのだと思います。

 

私が過去に会ってきた女性たちにそうした出来事がなかったわけではないはずです。

ただ、あのとき私は聞く耳を持たなかった。

だから聞き逃してきた声がたくさんある、

ということだと思っています。

 

 

上間さんが経験した絶望ややるせなさをこの本の読者に託したと最後に語っているのが印象的でした。

 

受け取った側としては、感じることしか今は出来ませんが、

自分の手の届く範囲の周りの人達の話を聞く。

そう思いました。

 

また沖縄行きたいです。

 

以上、上間陽子さん著「海をあげる」を読んだ感想でした。

 

 

 

 

 

★過去に読んだノンフィクション大賞本★

 

 

www.genko-library.com

 

 

 

 

 

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