おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
西加奈子さん著「夜が明ける」です!
本の説明
物語は二人の青年の視点が交わりながら進む。
出会いは思春期の高校時代。
内気で大柄の男。
誰もが敬遠する見た目の「深沢暁」
そんな暁は、「俺」が放った、
お前は「アキ・マケライネン」だよ!
その一言で人生が変わった。
一本の映画「男たちの映画」を「俺」はアキに貸した。
暁はその映画の主人公、マケライネンに心酔した。
それからの暁は、マケライネンになりきった。
マケライネンになりきれば吃音が出ない。
自分じゃない何者かになれる気がしたからだ。
暁は学校中の人気者になった。
そんな青春を送った二人は別々の人生を歩み始める。
暁は劇団に入る。
俺は突然の父の訃報をきっかけに、
アルバイトをしながら大学に通い、
そしてテレビ局の下請け会社に就職した。
俺は弱い人間を助けたい。
報道の力で助けたい。
そんな目標を持ちながらがむしゃらに働いた。
そんな別々の道を歩み始めた二人だったが、
忙しさの日々の中でだんだんと歯車が外れていく。
貧困の母子家庭でネグレクトを受けながら育った暁、
過重労働に心身が蝕まれていく俺、
支援が必要な人に支援が届かない社会。
助けを求められない社会。
会社を辞められない。
社会の中で聞こえない声の上に生きている私たちに静かに知らしめる、
そんな本です。
本屋大賞2022ノミネート作品でもあります。
感想
青春時代から33歳までの男同士の友情と成長が描かれた本書。
二人は出会うことで、
お互いが支えになっていた。
母子家庭で育った暁は、
ネグレクトを受けながら育つ。
お腹を空かせる毎日の描写は読んでいて辛かった。
支援の人が来て少し良い方向に向かったかと思ったけれど、
やっぱり元に戻ってしまう。
生活保護を受ける権利もあるのに、それを使うことを知らないし、
申請が出来ない。
一方の俺は父の不幸をきっかけに困窮し始める。
それまで普通に生きてきた。
突然人生はこうやって変わってしまうのか。
そう痛感させられた。
そしていつの間にか、
絶対普通のやつらに負けてたまるものか。
「負けない」その気持ちだけが俺を奮闘させていった。
だから、テレビ局の仕事もどんなにきつくても、
パワハラにも負けないように頑張った。
慢性的な睡眠不足、食の乱れ、生活の乱れ、
だんだんとおかしくなっていく。
会社なんて捨てちゃえばいいのに。
私は思った。
辞めちゃダメだと思う選択肢しか持ち合わせていないことはとても怖いことだと思った。
あらゆる選択肢を持たないことは時として自分を不幸にする。
だからいろんな道を知っておくこと。
知識を得ること。
それは自分を守るための武器だと思った。
例えば、月10万円で暮らせるスキルを身につけておけば、
会社に依存しなくていいし、
たくさん働かなくてもいい。
足るを知っていると人と知らない人の差はとても大きい。
この世の中は、知らないからこそ助けを求められない人が居る気がする。
知識は武器だ。
支援する人が声をかけてもそれに素直に甘えられない人もいる。
それを自業自得だという人もいるかもしれない。
でもその自業自得とは、安心して暮らせる状態になってから省みればいい。
P376~
気持ちよく生かすためなら、ありとあらゆる人に助けてもらうって。
助けてもらうことは、
もちろん負けじゃなくて、得でも損でもなくて、
当然のことだから。
明けない夜はないという言葉があるけれど、
救いを求める人が救われる社会に少しでも近付けたらと思った。
私の身近にも、ネグレクトでは?
と、思うことが現実世界である。
どこまで手を出していいのか難しく、
判断に迷うことがある。
小説の世界の話じゃなく、本当にそういう世界は隣にあるのだ。
自分の生活でいっぱいなのもの確かで、
社会全体的に、心に余裕がないからこそ、手を差し伸べる人が少なくなっているのかなと思った。
色々と考えさせられてちょっと読むのが苦しくなるけれど、
作者の伝えたかった思いが物語を通して伝わる本だった。
もっとみんな本を読んだらいいと思う。
こういう生き方もあるんだ。
それを知っている人と知らない人では、
生き方が全く違うし、不安感も違う。
と、思うのでした。
以上、西加奈子さん著「夜が明ける」を読んだ感想でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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