おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
安克昌さん著「心の傷を癒すということ」です!
この本の内容
阪神淡路大震災から今年はちょうど30年の節目となります。
100分de名著でも紹介された本書は、
ご自身も被災した、
精神科医の安先生による、
被災地や被災者の様子が綴られています。
精神科医から見た、
大きな大災害の混乱期には、
人はどのような心の傷を負うのか。
またそのような傷はどのようにすれば癒されていくのか。
地震大国日本に住むうえでは必読の本ではないかと思いました。
読んでよかった一冊でした。
今ではよく聞くPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですが、
当時の日本は軽視されがちでした。
「心のケア」と言っても一概に何をすればいいのでしょうか。
精神科に通うことだけが心のケアとは言い切れないと安先生はおっしゃっていました。
やはり傷ついた人に一番大切なことは、
「孤独にさせないこと」なんだそうです。
日本人の美徳として、
秘めた思いは閉まっておく。
みんな大変なんだから我慢するべき。
昔はそんなことが当たり前でした。
けれど、それでは自分では気づかずうちに、
不調の道を辿ってしまう原因になるんだとか。
地震以外でも生きていると、
PTSDになる可能性はたくさんあります。
そのような事態に自分がなった時、
周りの人がなった時、
どのようにすればよいのか。
そんなヒントにもなる1冊だと思います。
テレビでは分からなかった当時の様子が記録された本書は、
今後の震災にきっと役に立ったと同時に、
たくさんの人の心の支えになったのではと思います。
この本を読んで心に残った言葉
この本を読んで心に残った言葉を抜粋して残しておきたいと思います。
kindle P90~
「体験していない人には言ってもわからない。
はたからは元気になったと思われてるでしょうけど、
一時も忘れたことはありません」
ある人がそう述べ、みんな頷いていた。
死別体験直後の強い感情の嵐は何年たってもおさまることなく、
内部で吹き荒れているのである。
そしてその感情は、周囲に対して何年も隠されている。
これは、子どもを喪った親たちの章の中で、
子どもを亡くした親たちの自助グループの会での出来事の会話です。
私は息子を交通事故で亡くしました。
その後、久しぶりに会った人に言われた言葉、
「元気そうでよかった」
この言葉にとても違和感を持ちました。
心の中では、
「全然元気じゃない。
元気そうに見せないといけないから元気に見せているだけなんだと。」
そんな感情が渦巻きました。
子どもを亡くした親は、
笑っていても、心は泣いています。
出来ることなら知り合いに会いたくないのが本音です。
あの日を境に住む世界が寸断されたような気がしました。
だから余計孤独感が募るのです。
私のことを知っていない人の方がまだ気楽に会話できるのです。
P192~
心的外傷を受けた人は孤立しやすい。
それは、誰にも理解してもらえないという気持ちが強いこと、
また外傷体験と心の中で葛藤しているため外に向かう余力が残されていないこと、
などさまざまな理由による。
これは本当にそうでした。
私は事故後できなくなったことがたくさんあります。
・いつものスーパーに行けなくなった
(知り合いに会うのが怖い)
・保護者会に行けなくなった
(会うこと、話すことが辛い)
・学校行事がとにかくつらい
(娘がいますので、学校行事があります。行く時は精神安定剤を飲まないと行けなくなりました。学校によく行っていたのでどうしても息子を感じてしまいます。
息子の教室の前を通ると動悸がします)
・近所に外出することが怖い
(とにかくなるべく知り合いに会いたくなくて、誰もいない時間帯を選ぶようになりました)
これは、今でも変わらずです。
こんな状況なので必然と孤立していきます。
分かっているけれど、自分をこれ以上傷つけたくなくて、
内にこもってしまいます。
仕事は行けてます。
最初は辛かったです。
でも何かに没頭していないと、もっとしんどいです。
仕事があってまだよかったと当時は思います。
P203~
世界は心的外傷に満ちている。
「心の傷を癒すということ」は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。
それは社会のあり方として、今を生きる私たち全員に問われていることなのである。
大震災の後は、多くの人が想像を絶する苦しみを味わいます。
そのような状況に直面することは今後大いにありえます。
震災以外でもPTSDはこの世界に蔓延しています。
結局は人との繋がりでしか、傷は癒せないんだなということが分かりました。
おわりに
息子が亡くなった直後、すぐに区から要請された保健師の方から連絡があり、
定期的な電話、定期訪問が繰り返されました。
最初はそれすらもしんどい時期がありましたが、
気にかけてもらえる嬉しさ、
知らない人だからこそ、言えること。
少しずつですが、その人と悲しみを共有することで、
救われる部分がありました。
その他にも心療内科の先生に話を聞いてもらったり。
定期的に連絡をくれるママ友がいたり。
そんな風に支えてもらえて、自暴自棄にならずに生活を保つことができています。
出来なくなったことはたくさんありますが、
もうこれ以上の不幸はこれ以上ないんじゃないかという経験をしたので、
底についたぶん、あとはまた少しずつ上がっていけばいいんだ。
今はそんな気持ちです。
毎日悲しいニュースが後をたちません。
自分もそんな当事者になって初めて、
「私も一緒だよ」と、そっと心の中で唱えるのでした。
同じように子どもが亡くなるニュースをみると、
胸が痛みます。
この本を読んで、震災時の状況が知れたことはもちろんのこと、
自分自身も負ったPTSDについて向き合うきっかけになりました。
今でもICUでの光景がフラッシュバックをして、
涙が止まらなくなることが多々あります。
それでも、息子のことは墓場まで持っていき、
息子が見れなかった世界を、
私の目で生きている限り見届けよう。
そんな気持ちです。
最初は辛くて、
自分の気持ちをブログに吐き出すこともできませんでした。
時が経って、
少しずつ、うちに秘めていた思いを言語化できるようになってきました。
まだまだ立ち直れたとまでは行きませんが、
時薬のおかげでゆっくりゆっくりと前を向けるようになっています。
以上、安克昌さん著「心の傷を癒すということ」の紹介でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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ここまで進化しているのですね。
今年買った自分へのご褒美です。
これを機会に読書時間を楽しもうと思います。