阿川佐和子さん、福岡伸一さん著書「センス・オブ・ワンダーを探して」という本の紹介です。
この本を読んだきっかけは、先日読んだ小川糸さん著書「こんな夜は」で、
糸さんが「おもしろかった~!」とご紹介されていた本なんです。
誰かのおススメの本を読むと、自分では選ぶことはないであろう本なので、
新しい発見があったりして楽しいです。
芋づる式読書です。
子どものときに浴びたオーラが大人時代を支える
センス・オブ・ワンダーとは?
「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、
驚きと感激にみちあふれています。
残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、
美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかけられる力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない、
『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』を
授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです」
児童文学で有名な石井桃子さんも同じことを言っているそうです。
「子どもたちよ。子ども時代をしっかりたのしんでください。
おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは子ども時代の『あなた』です」
子どもの時に感じた感性がいかに大事かを伝えている文章だなと思いました。
福岡伸一さんは生物学者です。この本では阿川さんにハカセと呼ばれています。
ハカセもやはり子ども時代、この「センス・オブ・ワンダー」を浴びたことによって、今があるとおっしゃっています。
昆虫が大好きだった福岡少年は、
「ルリボシカミキリの青色」に感動して、それがずっと心の支えになったそうです。
新種を発見したかもしれないと、
上野の国立科学博物館を訪れた時、
対等に対応してくれた大人や教授に感銘を受け、
「あんな風になりたいな」と思ったきっけで今の職業についたそうです。
でもただ昆虫が好きだった子ども時代とは違って、数多の数のネズミを犠牲にして研究しなければいけない葛藤も持ったのでした。
この資本主義の世界では、ビジネスの為に、人の役に立つ仕事でなければ食べていけない世界だということを語ります。
生物学の本って読んだことがなかったのですが、「へぇ~!!おもしろい!!」という驚きがたくさんでした。
そして阿川さんの掛け合い引き出し方がうまいことうまいこと。
なので、まるでラジオを聴いている感じで楽しく読むことができました。
私にもきっと子ども時代に浴びたセンス・オブ・ワンダーがあるはず
私はですね、幼少期の記憶というのがほとんどなく、鮮明に覚えている出来事っていうのがあまりないんです。悲しいくらい。
かろうじて覚えている風景が、
夕方祖母の家で、私はちゃぶ台で宿題をしていて、母と祖母が台所で料理をしていたんです。
その時に西日がキラキラと降り注いでいて、その時の光がとってもキレイで、
二人の後ろ姿と夕日の光がキラキラ輝いている情景が時々パッと思い浮かぶのです。
当時小学校一年生でした。
よく祖母の家で宿題をしていたなとふと思い出しました。
低学年の時は勉強が好きだったのを覚えています。
あとは帰り道、植物をひっこぬいたり、
花の蜜を吸ったり、花びらを一枚一枚はがしたり、
何かしら、道端の何かをいじりながらゆっくり帰っていた記憶も。
私にもちゃんとそうやって五感を使って色々感じていた時期があったんだなと思えました。
今子どもたちを育てている身なので、毎日子どもの感嘆の場面に出会います。
虫を発見した時の息子の悲鳴だったり、
虹を見た時の娘のキラキラした表情だったり、
私自身は子どもの時のそれらの記憶が薄いけれど、
今こうやって追体験できているんだと思っています。
大人になって支えてくれるセンス・オブ・ワンダー。
子どもにたくさん浴びる機会が出来ればいいなと親心ながら思いました。
そして何度もこの本に出てくる名著。
「せいめいのれきし」「ちいさいおうち」は是非子どもと一緒に読もうと思いました。
多読をしてよかったと思う瞬間の、今まで読んできた本、
一九八四年、1Q84年、飛ぶ教室、プー横丁、などなどがこの本でも紹介されました。
そんな時、繋がった!!と思う瞬間です。
読んでいるといないとでは話の分かりやすさも違うので読んでいてよかった。
好きな作家さんのおススメ本でしたが、思わぬ発見もあり、
自分自身のこと、子育て中の身でもあり、子どもにも通じることがあり、
読んでよかった一冊でした。
引用文は全て阿川佐和子さん福岡伸一さん著書「センス・オブ・ワンダーを探して」大和書房より
最後まで読んでいただきありがとうございました。