星野源さん著「いのちの車窓から」の紹介です。
私が星野源さんのエッセイにはまったのは、
「そして生活はつづく」を読んだのがきっかけです。
テレビで歌う源さんがこんなにもおもしろいお方だったとは知りませんでした。
それから「働く男」を読み、今回「いのちの車窓から」を読んだ次第です。
星野源という人は物事を多様な角度から見ている人だと思った
お源さんは仕事以外の時はメガネをかけているそうです。
年々視力が落ちているにも関わらず、きちんと矯正をしていないそうです。
なぜなら酔って気持ち悪くなってしまうからだそうな。
というわけで、遠くがぼんやり見えるレンズを付けているそうです。
そのせいか、だいたい何が起きていても、何となく窓の内側に自分がいる気がする。
内側から外側を眺め、ただ見ている感覚。
『パシフィック・リム』のロボットのように頭部のコックピットにもう一人の自分がいて、
自分を操ったり、勝手に動く、自分の手足や股間を見たりしている、よそ者の気分。
窓の内側に意識が飛ぶ。俺のロボよ、俺の手足よ、どうかうまく動いておくれ。
窓の外には勝手に喋り、勝手に動く役者の自分がいる。
喋る自分を放っておいうて、周りを見渡す。
不思議だな、この前まで病院の天井を見ていたのに、今は1300人の客の前で喋っている。
人生は旅だというが、確かにそんな気もする。
自分の体を機関車に喩えるなら、この車窓は存外面白い。
私も同じく、視力がとても悪いのでメガネ生活です。
昔眼科で働いていたこともあり、コンタクトは目に悪いことは知っているので、
極力入れないようになりました。
なのでも専らメガネ生活。
けれどお源さんのように捉えてこの世界を見たことはありません。
メガネの生活さえも「車窓から」見ている感覚で生きてみたらちょっと違う風に物事を見れるかもしれないっておもしろく感じました。
いのちの車窓からを読んで励みになった言葉
P132~
何かしんどい時には、すべてが終わった「その直後」を思い浮かべる。
「しんどい時が終わった自分をしっかり想像する」という行為は、物事は必ず終わるのだという単純なことに心から気づくための準備運動みたいなものだ。
迫りくる締め切り、宿題、急に襲いかかってきた病気、災害など、その状況が辛ければ辛いほど頭ではわかっていても「じゃあ前向きに頑張ろう」なんて即座に捉えられるものではない。
しかし、心から物事の終わりが感じられれば「うまくいかないかもしれない」「失敗するかもしれない」などと毎日考え、緊張や自分への励ましなどに時間を取られることがなくなり、必ず終わりが来るのだからと素直に目の前のことに集中できる。
これはいい思考だなと思いました。
私の場合は「うまくいかなかったどうしよう」そんなことに時間を割いているからです。
けれど、やっぱり何か心配なことが終わるとホッとする自分がいることも知っているんです。
身近な例だと、幼稚園の役員決めとかね。
会長になったらどうしようって。
これはもうどうしようもないことで、なったらなったで、自分なりに仕事だと思い全うするしかないし、一年後は安堵する気持ちで終えることも容易に想像できるのです。
私は近年ドラマを見ていなかったので、残念ながら昔流行った、
「逃げ恥じ」も見ていません。
お源さんの演技観てみたいなって、最近本を読んで思うようになりました。
舞台とか見に行ってみたい。ライブも行きたい。
それくらい、本を読んで、その人を知って益々惹かれていくのでした。
この本には、新垣結衣さん、大泉洋さん、吉田羊さん、笑福亭鶴瓶さんの話とか出てくるんですが、その方達もいい人で。
テレビで見かける感じのいい人たちって、第三者の人の意見を聞いてもまんまいい人なんだなあって。
お源さんとの掛け合いがおもしろい。
これはお互い心を開かないと出来ない掛け合いだなと思いました。
いかに相手にどれだけ心を開くか、私も今後の課題だなと思いました。
そしてお源さんの文章のうまいこと。
あとがきに書かれていたこの一文、自分が目指すべき文章だと思いました。
10年ほど書き続けて気づいたことですが、文章のプロとは、
ありのまま書くことができる人ではないかと思います。
伝達欲というのが人間にはあり、その欲の中にはいろんな要素が含まれます。
こと文章においては「これを伝えることによって、こう思われたい」という自己承認欲求に基づいたエゴやナルシズムの過剰提供が生まれやすく、音楽もそうですが、表現や伝えたいという想いには不純物が付きまといます。
それらと戦い、限りなく削ぎ落とすことは素人には難しく、プロ中のプロにしかできないことなんだと、いろんな本を読むようになって今、思うようになりました。
そんなんです。
ブログを書いていて思ったことは、
自分の考えや、相手に伝えたいこと、見たことを、
「ありのままに伝える」というスキル。
コレが難しく、自分の表現力のなさに落胆するのでした。
そして少なからずこう思われたいという伝達欲もあるということも薄々感じ、
ギクリとするのでした。
私は星野源さんのような文章を書けるようになりたいです。
彼の紡ぐ文章が好きで、読んでいると生きていてよかったって思えるんです。
それは「生きるって楽しい」ということが伝わってくるから。
今回もこの本を読んで元気がもらえました。
お源さんありがとう。
引用文は全て星野源著書「いのちの車窓から」(KADOKAWA)より
星野ワールドを体験していない方、一度読んだらはまりますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。