本を読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
「騎士団長殺し」の本の説明
妻に突然別れてくれと言われ、離別した36歳の主人公は肖像画の画家である。
離別をきっかけに、東北地方を彷徨い、旧友をつてにたどり着いた新しい住処は、
小田原の小暗い森の山荘。
そこはかつて有名な画家が住んでいた場所だ。
そこに住み始めてから不思議なことが起こり始める。
屋根裏のみみずく、夜中に鳴る鈴の音、
谷の向こう側に住んでいる白髪の隣人、
そして「騎士団長」・・・。
物語が連環する村上ワールド作品である。
「騎士団長殺し」を読んで心に残った言葉
P152~
「ここにあるのは、すべてがみたいものなのです」
とドンナ・アンナは背後を振り返ることもなく、前方の暗闇に向かって語りかけるように言った。
「本物ではないということ?」
「本物がいかなるのかは誰にもわかりません」と彼女はきっぱりと言った。
「目に見えるすべては結局のところ関連性の産物です。
ここにある光は影の比喩であり、ここにある影は光の比喩です」
「騎士団長殺し」を読んだ感想
村上作品を読んだことがある人なら分かるはず、
イデアとメタファーの連続だ。
イデアとは??
私なりの解釈には目に見えない通念、自分が見たいと思い作り出される創造物というところだろうか。
小説を読んでいると、頭の世界にないモノを描くので、それもイデアの一つなのかな?
メタファーとは隠喩のことで、「たとえ」のこと。
目にみえないイデアをメタファーによって、この現実の世界で通訳する。
そんなところだろうか。
出だしからもう、全てがどういう意味なんだろう?
と、気が抜けない状態である。
もうわけも分からず読んだけれど、どんどん物語に引き込まれ、
不思議な感覚に陥った。
夢なのか現実なのか訳が分からない。
不思議でちょっと怖くて、気味の悪い、そんな感触だ。
感動だとか、綺麗な世界とか、そんな世界ではないけれど、
村上春樹さんの織りなす巧みな表現にあっという間にハマってしまうのだ。
一癖も二癖も三癖もある、そんな村上春樹さん作品。
今回のこの騎士団長殺しも長編で、読み切れるかな?
そんな不安はおかまいなしに、一日1冊のペースで見事に完走してしまった。
それくらい、いったん入り込むと、不思議な世界にワープしてしまうのだ。
この騎士団長殺しも、不思議なことが起こる連続だったけれど、
ちょっと現実的にありそうな気もしなくはなかった。
終わり方も、で!?結局どういうこと??ではなく、
割と穏やかに、ちゃんと終わった。
ただ違和感をいうなれば、主人公は私と同じ年齢の男性なんだけれど、
こんなに教養ある人いる?っていうくらい、色々詳しい。
音楽のオペラにしても歴史にしても。
精神年齢が実に高い。
そんな印象を受けた。
「騎士団長殺し」
実際の絵画で見たらどんな迫力だろうか。
スバル・フォレスターの男は怖くてみたくない。
色々と、想像を掻き立てられる物語だった。
不思議な世界へワープしたい人におススメの1冊でした。
1年に1回、村上春樹さんの長編は読みたい。
そんな癖になる作品です。
かの有名なノルウェイの森は40歳になったら読もうと決めている。映画では既に観たが、若すぎた故によく分からなかったのだ。
村上春樹さん作品はやっぱり活字でなくちゃ。
以上、「騎士団長殺し」の感想でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
★過去に読んだ村上春樹さん作品★
私的にはこのエッセイが凄く好き。
毎日淡々と、原稿用紙何枚書く、走る、習慣づけている村上春樹さんの私生活に、
少なからず影響を受けたことを覚えています。
「毎日」が本当に大切なことを教えてもらいました。
海辺もカフカ。こちらも好きな作品
個々の登場人物が個性的だったのを記憶しています。
心に残った文↓
僕らはみんな、いろんな大事なものうしないつづける
大事な機会や可能性や、取り返しのつかない感情。
それが生きることのひとつの意味だ。
でも僕らの頭の中には、たぶん頭の中だと思うんだけど、
そういうものを記憶としてとどめておくための小さな部屋がある。
きっとこの図書館の書架みたいな部屋だろう
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