おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
瀬尾まいこさん著「その扉をたたく音」です!!
この本の説明
主人公はミュージシャンの夢を捨てきれず、裕福な家庭に生まれ、
親からの仕送りで怠惰な日々を過ごす宮路。
そんな宮路は、ある日、ギターの演奏で訪れたホームで、
好き勝手に演奏をする。
老人たちは見向きもしない。
それは宮路の自己満の演奏だったからだ。
そこで神がかったサックスの音を耳にする。
ホームの入所者たちもその奏でるサックスにご満悦のようだった。
演奏していたのは、ホームで働く職員の渡部だった。
「神様」に出会った興奮に突き動かされ、
またあの音を聞きたい。
そんな宮路はホームに通いだし、顔なじみになり、
やがて入所者とも仲良くなっていく。
ホームで働く渡部や入所者と交流するうちに、
宮路の心に変化が訪れるそんな物語です。
心に残ったこと
P180~
生きていけばそのぶん、明日は一つ減り、
また一つ減っていく。
誰かと一緒にいられる明日。
記憶に留められる明日。
現実は想像以上に過酷だ。
生きているということは、明日が一つ減ることであるということ。
全てを記憶に留めることは難しくて、
今この瞬間瞬間を生きることで精一杯のような気がする。
覚えていたい昨日も、迎えたい明日も、
病気やままらないことでできない日々が増えていく。
生きるということは時に過酷でもあり、
喜びの瞬間もある。
主人公宮路が、ホームの入所者さんと関わることで、
この人はどんな日々を送ってきたのだろうと想像した瞬間の言葉です。
感想
主人公宮路は、親の仕送りで生活をして、無職で、
未だに夢を諦めきれない、ちょっとダメな大人です。
でも、結構優しかったり、正直なところがいいヤツだな。
なんて思いました。
お金持ちにはお金もちなりの葛藤や悩みが浮き彫りになっていました。
対して、ホームで働く渡部は、お祖母ちゃんと二人暮らし、
質素な暮らしぶりで、
それなりに苦労して過ごしてきました。
そんな対極同士の二人が出会ったからこそ、
お互いの違いを認めながらも相手のことを諭したり、
それってこうなんじゃない?と、解釈したり、
半ば強引に誘ってみたり。
二人がいい感じに仲良くなっていくシーンは友情を感じました。
そして、ホームの入居者さんたちと、宮路との交流がよかったです。
宮路のことを「ボンクラ」と呼ぶ水木さんというおばあちゃんがいるのですが、
この水木さんは口は悪いのですが、
宮路のことをしっかり理解している人なんです。
演奏したあの日に、宮路のことをなんとなく理解し、
強引ながらも宮路を良い方向へ導いてくれるのでした。
水木さんのお手紙のシーンに、心がジーンときました。
水木さんや本庄さんというおじいさんと関わることで、
宮路の心の扉がちょっとずつ開かれます。
その様子は、一筋の光が零れるようでした。
人生において、扉をひらくシーンってあるんだと思います。
それは言葉だったり、人の行動だったり、優しさだったり。
その音の瞬間を聞こえる人は稀ではあると思うのですが、
きっとそんな瞬間はたくさんあると思うのです。
私が上京した時に背中を押した言葉があります。
ある広報誌の裏に書かれた一文が私の心を動かしました。
「現状維持は退歩である」
若干二十歳の私がこの言葉との出会いによって、
あ、沖縄にこのままいたら、私の人生何もないかも。
なんて思った瞬間でした。
その言葉をずっと心に刻みました。
今考えるとその言葉は、私にとって扉をたたく音だったのかもしれません。
年齢と共に、現状維持すらままならなくなることが分かってきました。
けれど若いあの頃には、この言葉がとても衝撃的だったのです。
ちょっとびくびくして、行動するのが怖い時にはこの言葉を思い出すようにしています。
言葉の力って凄いなぁって改めて思いました。
本書を読んで、扉がたたかれる音に耳を傾けてみてください。
以上、瀬尾まいこさん著「その扉をたたく音」の紹介でした!
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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