本のある暮らし

人生は一冊の本のように味わい深いです。そんな日々を綴ります。

【読書感想】町田そのこさん著「星を掬う」すれ違う母と娘の物語です!

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おはようございます。

 

1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。

 

今日ご紹介する本はこちら。

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町田そのこさん著「星を掬う」です!

 

 

この本の説明

 

あなたの思い出売ってみませんか?

ラジオ番組の企画に出来心で送った千鶴。

 

そんな千鶴の思い出が反響あり、当選し、ラジオで放送された。

当選賞金5万円。

 

よかった、これで少しは生き延びられる。

そう思った千鶴。

 

別れた夫から、金を巻き上げられる日々。

暴力を受け精神的にも肉体的にもボロボロになっていた。

生きるのもやっとだった千鶴。

 

千鶴が投稿した思い出は、

千鶴を置いていなくなった母との夏の思い出だった。

 

あの夏は、藍色だと思っていたお母さんが、

別の色を帯びるようにどんどん変化していった。

お母さんと楽しいことをたくさんした。

 

けれど、お父さんとお祖母ちゃんが迎えに来て、

お母さんはあとから来るねと言ったのに、

それっきり帰ってくることはなかった。

 

それからの千鶴の人生は悲惨だった。

 

千鶴は思う。

あの時なぜ母は自分を手放したのだろう。

 

まさか娘がこんなにも不幸になっていることは知らないだろうと。

 

もう死んでしまいたい。

そう思った矢先、ラジオを偶然聞いた人から番組へ連絡があった。

 

千鶴さんのお母さんを知っています。

会わせたいという連絡だった。

 

そこから、運命が変わり始める。

 

母との再会、母の病気、さざめハイツでの共同生活、

ストーカー、DVの恐怖とトラウマ。

 

この本は、

「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活が描かれている。

その共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎えていく。

 

 

本屋大賞2022ノミネート作品となっています。

 

昨年本屋大賞2021で大賞を受賞した町田そのこさんの、

 

www.genko-library.com

 

受賞後の作品となっております。

 

今年も受賞なるのか!?

注目の一冊でもあります。

 

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感想

 

冒頭から千鶴の困窮ぶりや元夫のひどいDVで目を背けたくなる描写が多く、

読むのが辛いでした。

 

これは52ヘルツのクジラたちと似ているのですが、

とにかくいたたまれない気持ちになっていきます。

 

なんでこんな男に支配されちゃうんだろう。

逃げていいのに。

 

逃げても逃げて追ってくる元夫。

その恐怖がこちらにも伝わってくるのでした。

 

そして、千鶴のこれまでの人生。

母がいなくなったことをきっかけに、

千鶴の人生は辛いものでした。

 

千鶴はそんな辛い出来事を母のせいにしてしまいます。

 

どうしてあの時自分を置いていったんだろう。

そのことばかり考えても考えて答えが出ません。

 

そんな矢先、ラジオ投稿をきっかけに母と再会を果たすのですが、

そこでもまた色々起こります。

 

そこに住む人たちは、

 

娘に捨てられた彩子。

本当の親がいず、千鶴の母を「ママ」と呼ぶ恵真。

千鶴の母、聖子。

そして千鶴。

 

四人の共同生活はぎこちなく、

でもぶつかり合いながらも少しずつ距離を縮めていくのでした。

 

特に千鶴と母聖子はぶつかり合います。

けれども、聖子が千鶴のことを思っていること。

やっぱり親子なんだなぁと思う描写がたくさんでした。

 

特に印象に残った言葉は、

 

P223~

誰かを理解できると考えるのは傲慢で、

寄り添うことはときに乱暴となる。

大事なのは、相手と自分の両方を守ること。

相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし、

自分を傷つけないと近づけない相手からは、離れること。

 

相手と自分を守る。

これがいかに大事なのに出来ていないこと多いなぁと感じました。

自分を傷つけながら相手に近づくこと。

知らず知らずのうちにやってしまいがちだったなぁと思いました。

 

 

 

母と娘というのは、どうしても一心同体的に思ってしまいがちです。

私自身、息子と娘を育てているので何となく分かります。

 

娘と息子に対して、どうしても同じようにというわけではなく、

娘に対しては自分のようになってほしくないと思っていても、

自分と似たところ、口ぐせを見ては、

自分と重ねてしまう部分もあります。

 

けれど、やっぱり母の人生、

娘の人生と、全く別々なのです。

そこをはき違えて、どちらかが依存してしまうとうまくいかなくなってしまいます。

 

タイトルの「星を掬う」

この本を読み進めていくと、

後半でその意味がわかります。

 

私もこの先、聖子のような病気を抱えるかもしれない。

そんな時、私はどの星のカケラを掬いながら生きていくんだろう。

そんな風に思いました。

 

読んでいて、辛い、苦しい、切ない、

人生って、家族ってどうしてこうも色んな出来事が起こるんだろう。

いつ何時自分の身に降りかかるかもしれない。

 

家族って、親子って?

色んな感情が交差する本でした。

 

最後は救いある、希望が持てる終わり方でした。

 

前作の52ヘルツとテイストが似ているので、

大賞受賞はちょっと難しいかな?

と、感じましたが、

それでも読み応えある一冊でした。

本屋大賞関係なしに、

今この本のように苦しんでいる人の救いになる一冊になってくれると思います。

 

私も娘と、実母、義母との距離感。

接し方。

日々思うこと、悩ましいこと、

たくさんあります。

家族だから。

その言葉が苦しめる部分もあります。

 

一人の人、別の人生を持っている。

尊重しながら接したいなと、この本を読んで思いました。

 

以上、町田そのこさん著「星を掬う」を読んだ感想でした!

 

 

 

★過去に読んだ町田そのこさん作品はこちら★

 

 

www.genko-library.com

 

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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