おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
逢坂冬馬さん著「同士少女よ、敵を撃て」です!!
この本の説明
少女セラフィマはモスクワ近郊の農村で猟師の娘として、
母と穏やかに暮らしていました。
しかし、狩りからの帰り、もうすぐ村に着くと思った矢先、
村の様子がおかしい。
村に自動車を持つ人などいないのに、自動車が。
そして聞こえてくるドイツ語。
セラフィマはドイツ語を勉強していたので、
聞こえてくるドイツ語が理解できた。
大学でドイツ語を更に学び、それを活かしていつか外交官になるのがセラフィマの夢だった。
村の異変に気付いた、セラフィマと母。
このままでは、村の人たちがドイツ兵に殺されてしまう。
そう、悟った母は拳銃を構えるも、打つ前にどこからか撃たれて即死してしまった。
うろたえるセラフィマに更なる悲劇が待っていた。
近づくドイツ兵の声。
母を撃ったのはドイツ兵の会話の様子から、
「イェガー」ということだと分かった。
彼は狙撃兵の中でもずば抜けて優秀な腕前の持ち主だったのだ。
ドイツ兵に連れられ、坂道を下り、
連れて行かれたのは住み慣れた家だった。
村人たちは全員殺され、死体からは湯気がたちこめている。
生き残ったセラフィマを強姦しようと会話しているドイツ兵達。
ドイツ語が理解できるセラフィマにとっては地獄だった。
ドイツ語を理解していると悟られたセラフィマは、
見逃してくださいと懇願するが、
聞き入れてもらえず、
額に銃口が突きつけられ、自分の死を覚悟したと同時に、銃声が。
セラフィマは自分が死んだと思った。
しかし、生きていた。
目の前に転がるドイツ人。
赤軍の兵士たちだった。
赤軍の兵士たちは、ドイツ人を何人か仕留め、
この悲惨な状況を救ってくれた。
残ったセラフィマに質問が押し寄せる。
そんな中、女性の声がした。
女性は、いたわりの言葉一つなくセラフィマに聞く。
「戦いたいか、死にたいか」
セラフィマは死にたいと言った。
そして更になじる行動をとる、女性軍人。
村人の死体にガソリンをまき、炎で燃やす。
母が炎に包まれる姿を見届けるセラフィマ。
セラフィマは誓った。
「ドイツ軍も、母を撃ったイェガーも、そして母を焼いた目の前の女も殺す!」
その女性はイリーナ。
女性狙撃兵を育てる曹長だった。
これが、セラフィマの過酷な狙撃兵としての人生の始まりだったのだ。
数々の章を受章し以前から注目されていた本書ですが、
2022年本屋大賞ノミネート作品にも選ばれました。
感想
独ソ戦を皆さんご存知でしょうか?
私は正直、知りませんでした。
ヒトラー率いるドイツ軍がユダヤ人を虐殺していたのは知っていましたが、
この本は独ソ戦の主に、スターリングラード戦での出来事が主に描かれていますが、
そこに向かう女性狙撃兵たちが主人公です。
戦場は女性の出る幕ではないと思っていました。
しかし、ロシアは男も女も戦場に行って戦っていたのです。
狙撃にもたくさんの知識が必要ということを、
まずこの本を読んで知ることができました。
敵との距離を天候や条件によって割り出し、どの位置を狙えばいいのか。
一瞬で計算をしなければいけないのです。
凄すぎる。
私はただ感覚的に撃てばいいものだと思っていたので、
この座学のシーンにまず衝撃的でした。
セラフィマのような境遇の女性たちが集められ厳しい訓練が始まるのです。
イリーナは本当に血も涙もない冷血女なのか?
本を読み進めていくうちに、イリーナの本心と優しさが伝わってくるのでした。
そして初めて人を撃つシーン。
今まで動物だけを撃ってきたセラフィマにとっては、
苦しい瞬間だったと思います。
けれど、戦争という場所は更に人を変えていくのです。
P267~自分が怪物に近づいていゆくという実感が確かにあった。
しかし、怪物でなければこの戦いを生き延びることはできないのだ。
次第に撃った人数を自慢するようになるセラフィマ。
戦争というのは人をこのように変えてしまうのです。
そして女性狙撃兵というのは、男性社会の戦場にとっては、
異質中の異質。
性差別を受け、セクハラだって受けます。
それは耐え難いものだったに違いありません。
女性だからこそ、そんな兆発にも耐え、
穏便に済むように受け流せたのかもしれません。
けれど、戦場ではやっぱり女性や子供は弱い立場。
セラフィマは「女性を守るために戦う」
その一心で敵に挑みます。
その敵はドイツ兵だけではありません。
見方のロシア人も平気でドイツ人女性に対し、ひどいことをします。
人間とはいったい何なんだろう。
この本は、そんな性差別についても訴えている内容の本でした。
とってもとっても分厚い本で、
読む前はちょっとたじろいでしまいそうになりましたが、
物語に入り込むと一気読みでした。
まるで映画を観ているかのような臨場感。
いつも戦争の主人公は男性だった。
そんな物語を覆し、
戦争を通し、あの時確かにいた、女性たちに焦点を当てた物語でした。
読んでよかった。
凄いものを見てしまった。
戦争の理不尽さを実感しながらも、セラフィマと一緒に、
戦場を駆け抜ける。
そんな体験をさせてくれる一冊でした。
以上、逢坂冬馬さん著「同士少女よ、敵を撃て」を読んだ感想でした!
★過去に読んだ戦争について考えさせられる本はこちら★
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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