本のある暮らし

人生は一冊の本のように味わい深いです。そんな日々を綴ります。

【読書感想レビュー】森下典子さん著「こいしいたべもの」を読みました。

スポンサーリンク

 

 

 

 

 

前回紹介した本「いとしいたべもの」に引き続き、

 

www.genko-library.com

 

今回は同じ著者の「こいしいたべもの」を読みましたので、

感想をつづりたいと思います。

f:id:genko-library:20190716114601j:image

 

 

 

 

「こいしいたべもの」の本の内容

 

母手作りの、バターがとろける甘いホットケーキ。

父が大好きだった、少し焦げ目のついたビーフン。

 

遅い青春時代に食べた、世明けのペヤング・・。

 

味の記憶をたどると、眠っていた思い出の扉が開き、

胸いっぱいになったことはありませんか?

 

優しい視点でユーモアたっぷり、胸がホロリとくる22品の美味しいカラーイラストエッセイ集。

 

 

今回のこの本も懐かしい食べものが満載でした。

私も一時期はまったペヤング

懐かしい。

水きりのお湯で熱い思いしたことあったなぁとか。

ペヤングの意味ってそういう意味だったの!!とか。

 

 

ペヤング ソースやきそば 120g×18個

そして日日是好日でも出てくる、お茶の先生とのやりとりや、

茶道で食べたおいしい和菓子のお話し。

 

読んでいるだけでも「あぁ、食べたい!!」となります。

 

スポンサーリンク

 

 

 

「こいしいたべもの」を読んで印象に残った言葉

 

P31~

 

梅だ・・・。梅が咲いている。

ハッとした。

これが梅の香りというものか・・・!

 

今まで梅の香りを詠った歌や文章をどれほど読んできただろう。

自分でも、手紙の中で幾度となく、

「梅の香る頃となりました」

と書いてきた。

 

なのに、知らなかった。

この寒さの中でいじらしく咲く花が、これほど甘くかぐわしく、

あたり一帯を包み込むとは・・。

 

 

その時から、梅は私の人生の内側で咲くようになった。

人は心で受け入れて初めて、本当の色や香りに触れる。

 

 

 

私はもうすぐ四十歳になろうという年だった。

梅の香りを知るのに、ずいぶん長い年月がかかった。

 

その時、思った。

何かを本当に知ることは、一つ一つ時間がかかる。

私は今まで、一体いくつのことを本当に知っただろう。

たぶん、知ったつもりで素通りしたものがほとんどで、

本当に知ったことは数えるほどしかないにちがいない。

そして、きっと一生をかけて、ほんのわずかなことを本当に知っただけで、死んでいくのだろう。

 

だけど、それでいいと思った。

数少なくとも、本当に知ったことだけを大切に味わいながら生きていきたいと・・。

 

 

この話のくだりは、茶会で大宰府の「清香殿」というお菓子を食べたエピソードから始まる。

 

習い事の茶道の帰り道、梅の香りをかいだ瞬間に著者が悟った心の内面だ。

 

人はさまざまな場面で、視覚や香りから、人生の真理が分かる瞬間がある。

 

人は本当に何かを知ることには時間がかかる。

生きている間知れることには限りがあること。

 

そうやって一生を終えていくこと。

 

そんなことを知ったこの場面が凄く惹かれた。

森下さんの文章はたまにこういった、ハッとさせられる真理が散りばめられている。

だから私は凄く共感したり、うなったり。

森下さんの文章のとりこになる。

 

私の人生もきっとこんな感じに、あの時分からなかったことを「知る」瞬間の連続なんだろうなと思った。

 

そして自分自身、「梅の香」には思い出がある。

だからかな。

このエピソードが余計に脳裏にフラッシュバッグさせた。

 

あの時見た、梅の花。梅の香り。

こんなにも梅の種類があることを知ったあの時。

 

梅の花を毎年見る度に思い出すのだ。

 

おわりに

 

誰もがもっている食べものとの思い出。

読んでいて本当に幸せな気持ちになるエッセイでした。

 

またこういう本を読みたいな。

 

森下典子さんのエッセイ。

好きになりました。

他の作品も読んでみようと思います。

 

本自体も薄い文庫本なので、箸休め的に本を読みたい人におススメの一冊です。

読んだら共感する、懐かしい食べものがでてくること間違いなしです。

f:id:genko-library:20190715164227j:image

引用文は全て森下典子さん著書「こいしいたべもの」文春文庫より

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

★関連記事★

 

www.genko-library.com

 

 

www.genko-library.com

 

 

 

 

スポンサーリンク