本のある暮らし

人生は一冊の本のように味わい深いです。そんな日々を綴ります。

【読書感想レビュー】一万の春を持つバレエに恋した天才を描いた物語。恩田陸さん著「spring」を読みました。

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おはようございます。

 

1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。

 

今日ご紹介する本はこちら。

恩田陸さん著「spring」です!!

 

 

本屋大賞2025ノミネート作品です!

あやこ
 

 

 

この本のあらすじ

 

主人公、萬春(よろずはる)は、物心がついた時から、

人とは違う感性を持っていました。

 

運動神経抜群の両親の元に生まれた春は、

母親に体操クラブの見学に連れていかれます。

 

そこで春は、人とは違う動きをして親を驚かせるのです。

 

特に、春が興味を示したのは、床の演技の練習でした。

春はいきなりジャンプをして、一回転してみせたのです。

 

母親に体操をやってみるか?と聞かれたが、

春は「違う、あれじゃない」と即答。

体操は、春の中で「カチッ」と音がしなかったのです。

 

春はすべてを熱心に観察し、脳内シュミレーションを繰り返す子どもでした。

 

とある日曜日、家族三人で自宅近くの川べりを散歩をしていました。

春は他愛もなくくるくると回りながら川べりを歩いていました。

 

春はそんな時は、なんともいえないもどかしさを感じるのでした。

世界と繋がるにはどうすればいいのか。

言語化できない春は、気づけばいつも身体が動くのでした。

 

そんな時、彼の体中から迸る無意識の踊りをたまたま目にかけたのが、

春の恩師、つかさとの出会いでした。

 

天才は出会うべくして、運命に導かれるように出会うのです。

 

「あなたバレエやってみない?」

それが、バレエの「バ」の字も知らなかった、

春とバレエとの出会いだったのです。

 

この物語は、名前に一万の春を持つ、

一人の天才、萬春の物語です。

 

舞踏家でもあり、振付師でもある春のバレエとの出会い、

バレエを通して出会った人々の情熱が交錯する物語です。

 

恩田陸さんの惜しみなく溢れる、

芸術的な文章力によって、頭の中でバレエが芸術が再現される。

そんな物語となっています。

 

感想

 

バレエにあまり馴染みがない私。

楽しめるだろうか?と、少々不安を持ちながら読みましたが、

読み始めると、

まるで一つの芸術作品を堪能しているような気持ちになりました。

 

恩田陸さんの本を読んだことがある人なら分かると思います。

言葉の節々が美しい芸術作品なんですよね。

 

そして、教養が溢れる溢れる。

 

あぁ、これはもっと音楽を、映画を、日本の文化を、物語を知っていたらもっと楽しめるんだろうなぁって。

自分の教養の数少ない引き出しをひっぱりながら読みます。

 

きっと芸術に普段から触れている人と、

触れていない人とでは、

圧倒的に物語を感じる感受性が格段と違うんじゃないかなぁと思いました。

 

過去に本屋大賞を受賞した、「蜜蜂と遠雷」では、

私は音楽、中でもピアノに触れいたおかげでより物語に没入することができました。

 

この物語はきっと、

バレエに触れたことがある人なら気持ちが凄く分かる物語なんじゃないかなぁと思います。

 

けれどもバレエのたしなみのない私でも、

まるで目の前でバレエが躍られているかのように、

情景が浮かんだり、音楽が流れたりと、

脳内再生することができました。

 

それはやはり恩田陸さんの言葉の力量のおかげなんだと思います。

 

凄く多きな起承転結が起こるわけではないので、

人によってはつまらなく感じることも無きにしも非ずかと思います。

 

ある程度人生経験を積んだり、

芸術に触れていないと琴線に触れないのかもしれません。

 

私はこの本を読み終えたあと、

すぐにYouTubeでバレエの動画を観ました。

 

ボレロの曲に合わせた演舞を観ました。

 

その動画を観て感じたことは、

人というのは、芸術を表現可能なもの全てを使って表現する生きものなんだとつくづく感じました。

 

それは、音楽であったり、文章であったり、アートであったり、踊りであったり。

人は表現を辞めることができない生きものなんだと。

 

全身のあらゆる動きを使って、

音楽に合わせて演舞するバレエ。

 

1つの物語がそこにあることを実感したのでした。

 

人と芸術は切っても切り離せない存在で、

その芸術を身体から湧き出る情熱で、表現する人たちがいること。

努力を惜しまず高みを目指せる人たちがいること。

 

人はそれを天才と言います。

 

この世には明らかに人とは違う、

生まれ持った才能を持った人たちがいることも確かなのです。

 

凡人だからこそ、

そんな人たちの表現に感動したり、

どういう意味を持っているんだろうと考えたり。

 

芸術って改めて凄いなぁ。

そう思わさせてもらえる物語でした。

 

心に残った言葉

 

この本を読んで心に残った言葉を残しておきたいと思います。

 

俺にとってのバレエは「すべて」だ。

俺は、川べりで「回りすぎた」ところをつかさ先生に発見されてから――いや、

たぶんそれよりもずっと前から、バレエという宇宙を予期していて、

既にその「中」にいたような気がする。

 

バレエを通して、初めて俺は世界に触れることができる。

バレエという言語で世界を理解し、バレエという目から見たこの世界を愛している――

いや、バレエを通してみるからこそ、俺はこの世界を、周囲のすべてのものを等しく愛せるのかもしれない。

 

俺は世界を戦慄せしめているか?

それはまだ分からない。

けれど、ひとつだけ確かなことがある。

幾多のまだ見ぬ季節に出会うために、俺はこれからも命の続く限り、

どのような形であれ踊り続けるだろう。

不安はない。

俺はこの名に、一万もの春を持っているのだから。

 

 

おわりに

 

本を通してまた一つ、新しい世界に触れられたのでした。

本はいつだってまだ知らない世界を見せてくれますね。

 

恩田陸さんの長編小説。

読む人の経験や教養によって大きく感じ方が違うと思います。

 

その芸術にぜひ触れてみてください。

 

読んだ人の感想お待ちしております。

 

以上、恩田陸さん著「spring」を読んだ感想でした。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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