おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
吉田篤弘さん著「なにごともなく、晴天。」です!
吉田篤弘さんの「月とコーヒー」を読んで以来、
その独特の世界感の虜になってしまい、
今、吉田さんの本を少しずつ読んでいるところです。
物語に大きな緩急があるわけでもなく、
起承転結のジェットコースターがあるわけでもなく、
人生の日々って、こんな感じにぬるく、
淡々に過ぎるよね。
でもちょっと異世界っぽい、そんな雰囲気が気持ちを荒立たせることがないので、
そんな吉田さんの文章の世界の魅力にはまっています。
「なにごともなく、晴天。」の本の内容
高架下商店街でむつ子さんという女性に店番を任され、
日々店番をする美子。
その商店街で同じくお店を営む、
ベーコン姉さん、サキ、太郎食堂の人々と関わり過ごす日々。
とある日、銭湯で偶然出会っった、八重樫さんという元探偵と出会いが、
物語のスパイスとなり、
人々の「じつはね」が浮き彫りに。
美子の一目ぼれ。
長年会っていない父の懐かしいコーヒーの味。
「なにごともなく、晴天」人生はそうじゃない日もある。
だからこそ、晴天の日は特別嬉しい。
高架下で暮らす人々の暮らしに触れる1冊。
「なにごともなく、晴天。」を読んで心に残った言葉
P123~
なにごともなく平穏無事な日々というのは、
多くの人たちの「じつはね」で成り立っている。
この世の平穏は、
多くの人たちのやせ我慢と隠しごとと沈黙で出来ているのだ。
それに、隠しごとがないことを「平穏」よ呼ぶはずなのに、
平穏のために隠しごとをするなんて、
平穏を裏切っているみたいだ。
深いなぁと思った。
「知らなくてもいいこと」世の中にはあふれていて、
それを隠し通すこともまた優しさなのかもしれない。
平穏のための矛盾。
確かに、世の中はそういったもので成り立っているのかもしれない。
そんなことを思う一文だった。
P274~
「なにごともなく、晴天。」という言葉のあとには、
かっこ付きで、(そんなはずはないけれど)と、つづくわけです。
そんなはずはないけれど、
それでも、
空が晴れていたら、どんなに悲しくても、
やはりお腹が空いてくる。
それもまた、なんだか悲しくて、
そんな希望と悲しみのあいだを行ったり来たりするような、
そういう思いを「なにごともなく」に託してみようと思いました。
これはあとがきの分部で、作者の吉田さんがこの物語のタイトルに込めた意味を語っているシーンです。
あの東日本大震災の時に、この物語が生まれたそうで、
当時の日本の悲しみの中、
希望を少しでも見出す日々の願いが込められていることが伝わるのでした。
「なにごともなく、晴天。」を読んだ感想
「まずいコーヒーのことなら、いくらでも話していられる」
そんな一文から始まるこの物語。
コーヒーを毎日飲む人なら、思わず二度見してしまうのではないだろうか?
私はコーヒーを飲まない、飲めない民ですが、
え?どういうこと?
と、物語に引き込まれたのでした。
そんな本書。
脈絡もなくただ淡々とした日々なのかなと思いきや、
主人公美子が元探偵の八重樫さんという女性と出会ったことにより、
物語が急加速する。
このお話しの中においては、徐行運転だった日々が、
ちょっと快速になるくらい進むのだ。
人々のちょっとした「じつはね」の秘密の暴露。
そして美子自信の突然の一目ぼれ。
その後の美子の恋の進展は分からないけれど、
この物語はそこで終わってしまう。
寝る前に少しずつ読むのに本当にぴったりの本で、
頭の中をかき混ぜさせることなく、平穏に読めるそんな本でした。
装丁はもちろん好みなのですが、
本の大きさと、一ページの文章の量がちょうどよくて。
吉田さんの本って、読みやすいんですよ。
一度読んだら分かると思うのですが、
他の本と違う独特の本づくりされた本なんです。
他の本も読んでみよう。
またそう思わせてもらえたのでした。
こうやって、今まで触れることのなかった作者さんと出会い、
また芋づる式で他の作品を読んでみたい気持ちにさせられるので、
読書って楽しいなぁと思うのでした。
以上、吉田篤弘さん著「なにごともなく、晴天。」を読んだ感想でした。
★過去に読んだ吉田篤弘さん作品★
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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