おはようございます。
1冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
今日ご紹介する本はこちら。
小川糸さん著「小鳥とリムジン」です!
小鳥とリムジンのあらすじ
主人公小鳥は、若い頃はとにかく苦労が絶えませんでした。
シングルマザーで育ち、
家出をし、児童養護施設に行くも、
そこでもまた人間不信の出来事があったりと、
10代の小鳥は恵まれた人生ではありませんでした。
そんな小鳥に転機が訪れます。
父親かもしれないという「小島」さんとの出会いによって、
小鳥は小島さんの介護を通して、
自立した生活を送れるようになりました。
そんな小島さんを看取った日、
思い切って行ったお弁当屋さん。
そこの店主の「リムジン」と出会ったことをきっかけに、
小鳥の抱えていた人生の傷が少しずつ癒されていくのでした。
この物語は「愛することは生きること」をテーマに描かれています。
優しい雰囲気の装丁とは裏腹に、
内容は結構残酷なことが多く、
気持ちが沈みました。
性的虐待の描写が描かれていますので、
トラウマを抱えている人にとっては、
辛いお話かもしれません。
人には言えないからこそ、難しい問題で、
きっと氷山の一角で、小鳥のように、
誰にも言えずに抱えて生きてきて、
今でもそのことに苦しんでいる人がいるのかもしれません。
小川糸さんの本をこれまで数多く読んできましたが、
今までの作品とは違って、
重めのテーマでした。
けれど、そんな重いテーマですが、
希望と優しさと温もりが詰まったそんな一冊となっています。
「小鳥とリムジン」を読んで心に残った言葉
「小鳥とリムジン」を読んで心に残った言葉を紹介したいと思います。
P24~
もしも、コジマさんの体が衰弱して、この先思うように口から食べられなくなっても、生きている限り呼吸は続く。
息を吸うことで、香りを吸い込むことはできる。
そのことに気づいた時、私の胸に勇気のようなものがわいた。
香りには、想像以上にたくさんの力が秘められていた。
このシーンは、小鳥が病気で寝たきりのコジマさんの為に、
アロマオイルを使ってハンドマッサージをしている時の心の気持ちが綴られています。
香りで四季が伝えられること。
これは私にとっても新たな発見でした。
外にいけなくても、
香りをかぐことはできる。
これは今後の介護に役に立ちそうだと思いました。
小鳥自身も、希望というものを初めて知った体験なのでした。
それは絶望の10代を過ごしてきたからこそなんですよね。
P87~
「自由ってさ、空気みたいにあって当たり前みたいなつもりになっているけどさ、
本当は当たり前じゃないんだよね。
私たちが今手にしている自由なんて、ほんと、あっけないくらい簡単に、
悪意を持った誰かに奪われてもおかしくないんだと思う。
人々から自由を取り上げて、意のままにコントロールすることなんてさ、実は容易いことなんだよ。
そういう国が、いっぱいあったし、今だって、いっぱいあるし」
本当にその通りだなと思うシーンでした。
こちら側は近づいてきてほしくないのに、
悪意ある誰かに奪われる自由。
毎日そんなニュースが後を絶たないですよね。
自由は突然誰かに奪われること。
本当は誰にもそれを奪う権利はないのに。
悲しいです。
P187~
すごく大きな悲しみとか、苦痛とか、そういうものを吸い取ってくれるのは、
自然しかない気がする。
大自然の中に身を置いて修行していると、みっしりと空間を満たす目に見えないものの存在をありありと感じるし、
その中にはオジバもいるって実感する。
自然の中に身を置くと、オジバが言葉で僕に教えてくれたことが、こういうことだったのか、って体でわかるしね。
どんなに意識していても、都会で暮らしていると、そういう感覚が鈍くなるから、定期的に山に入って、直観力を目覚めさせないとダメだと思うんだ。
この言葉は凄く共感しました。
私も昨年息子を亡くし、大きな悲しみに陥ったからこそ分かるのでした。
四季の移ろいが癒してくれるんですよね。
自然はいつだって寄り添ってくれます。
こちら側の気持ちなんてお構いなしですもの。
精一杯「生」を全うしている、木々や植物たち。
自然の織り成す美しい景色。
今生きていること。
この景色を感じ取れることは当たり前じゃないこと。
私は今生きている。
自然を前にするとそう思うのです。
「小鳥とリムジン」を読んだ感想
どんなに辛いことがあっても、
心の傷を癒すのは人との繋がり、
そして「食」なんだなぁと改めて感じるのでした。
節々に小川さんらしい描写がたくさんなんですよね。
小川さんのエッセイを読んだからこそ分かるのですが、
「暮らし」をとても慈しむ人だと思うのです。
アロマもそうだし、食に関してもそうだし、
自然を愛することもそうだし、
言葉の端々に小川さんの人柄がにじみ出ているのでした。
内容は目を背けたくなるようなシーンもありましたが、
人間の欲深さや汚さ、負の部分もしっかり描かれていました。
人生は綺麗なことばかりではありませんからね。
平坦な人生なんてないと私は思っています。
誰も何かしら心に傷を抱えて生きている。
そんな傷を癒すのは、愛なんでしょうね。
小川さんの本を読むと自分を大切にしたくなります。
この本もそんな本なのでした。
以上、小川糸さん著「小鳥とリムジン」を読んだ感想でした。
★過去に読んだ小川糸さん作品はこちら★
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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